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アメリカ国旗と中国国旗=2025年4月8日、北京、ロイター
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 米国のベッセント財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表、中国の何立峰(ホーリーフォン)副首相が10、11の両日、スイスで会談する。両大国の緊張を一気に高めたトランプ関税をめぐる交渉の始まりとなる。中国国内では安易な妥協を許さない雰囲気が強く、早期の決着は見通せない。

 米側から中国製品には145%、中国は米国製品に125%の追加関税をそれぞれ課している。報復が報復を呼ぶ形でつり上がった異常な高率は、そのまま両者の隔たりを物語る。中国の対米輸出が4月に前年同月比2割急減するなど打撃は大きい。関税引き下げは双方の利益につながると見込まれるが、交渉の行方は楽観できそうにない。

 4月下旬から、トランプ氏が「中国側と協議した」といった発言をするとすぐさま中国側が「いかなる対話もしていない」と反論する展開が続いていた。第三国のスイスが初顔合わせに選ばれた点にも、両者のメンツが折り合う上で困難があったことがうかがえる。

 トランプ政権1期目の米中交渉は2019年末に「第1段階の合意」に達した。中国側の行動するべきことが多く書き込まれ、中国が譲歩したとも評された。今回はその時と異なり、中国側が譲らない「持久戦」となる要因が大きく三つある。

重ねた準備、世論も追い風

 一つ目は経済構造の変化だ…

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